2025.11.06
A5052とA2017 ― 軽さの中にある「性格の違い」
アルミ合金と一口に言っても、その種類は数多く存在します。
中でも「A5052」と「A2017」は、実用アルミ合金の中でも特にポピュラーな材料です。
しかしこの2つ、見た目は似ていても性格はまったくの別物。
用途を間違えると、性能を十分に発揮できないこともあります。
今回は、そんなA5052とA2017の違いを、性格になぞらえて解説してみましょう。
A5052 ― 柔軟で頼もしい「オールラウンダー」
A5052は、マグネシウム(Mg)を主成分とするAl–Mg系合金です。
この系統の特徴は、耐食性・溶接性・成形性の良さ。
海水や湿気にも強く、錆びにくいため、船舶・タンク・自動車の外板など、屋外・水回りの環境でも大活躍します。
また、熱処理による強化はできませんが、加工硬化(曲げや圧延など)によって強度を上げることが可能。
そのため、板金加工や溶接構造材として重宝されています。
まさに、「どんな環境でも柔軟に対応できるタフな万能選手」といえるでしょう。
例:トラックの荷台、燃料タンク、船体、看板、建築外装、電気製品の外装 など
A2017 ― 強くて繊細な「職人肌」
一方のA2017は、銅(Cu)とマグネシウム(Mg)を含むAl–Cu–Mg系合金。
通称「ジュラルミン」と呼ばれ、アルミ合金の中でも高強度タイプに分類されます。
特徴はなんといってもその強さ。
熱処理(焼入れ+時効硬化)を施すことで、鉄鋼にも迫る強度を発揮します。
このため、航空機や機械の構造部品、精密治具など、高い剛性と信頼性が求められる分野で使われます。
ただし、その反面――
・耐食性が低く、腐食しやすい
・溶接に不向きで、熱に弱い
という繊細な一面も持ちます。
言うなれば、「強いけれどデリケートな職人タイプ」。
例:航空機の構造部品、機械部品、治具、ギア、リベット、カメラ部品 など
A5052 or A2017 ― どちらを選ぶべきか?
| 比較項目 | A5052-H34 | A2017-T4 |
| 系統 | Al–Mg系 | Al–Cu–Mg系(ジュラルミン) |
| 引張強さ N/mm2 | 260 | 425 |
| 耐力 N/mm2 | 215 | 275 |
| 伸び | 10 | 20 |
| ブリネル硬さ HBW10/500 | 68 | 105 |
| 強度 | 中程度 | 高強度 |
| 耐食性 | 良好 | 低い |
| 溶接性 | 良好 | 不向き |
| 成形性 | 良好 | あまり良くない |
| コスト | 普通 | 高め |
※数値はあくまで目安値になります。製造法その他により異なります。
用途で考えると、
A5052は「外装・環境耐性・コスト重視」
A2017は「強度重視」
という使い分けが基本になります。
まとめ
アルミ合金A5052とA2017は、どちらも“軽さ”という共通の武器を持ちながら、
A5052は耐環境性に優れた実用派、A2017は高強度を誇る技術派。
同じアルミでも、求められる性能によってまったく別の選択になります。
設計現場では「軽くて錆びないA5052」か、「強度のあるA2017」か
その見極めが、製品の信頼性と寿命を左右するのです。
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