豆知識 - どうしてA2017(ジュラルミン)が航空業界から精密機械まで選ばれ続けるのか?~強度と加工性を両立した万能アルミ合金の秘密~

2025.07.02

どうしてA2017(ジュラルミン)が航空業界から精密機械まで選ばれ続けるのか?~強度と加工性を両立した万能アルミ合金の秘密~

 

はじめに:知っているようで知らないA2017の実力

 

アルミ合金A2017、通称「ジュラルミン」と聞くと、多くの方が航空機を思い浮かべるのではないでしょうか。

確かにA2017は航空機産業で長く愛用されてきた実績がありますが、実はその優れた特性は現代の幅広い産業分野で重宝されています。

 

「なぜA2017がこれほど多くの業界で選ばれているのか?」
「他のアルミ合金との違いは何なのか?」
「どんな製品に最適なのか?」

 

これらの疑問にお答えしながら、A2017の真の価値をご紹介いたします。

 

A2017の化学組成と基本特性

A2017は2000系アルミ合金に分類され、主な合金元素として銅(Cu)を含有しています。

 

主要な化学組成

  • アルミニウム(Al):残部
  • 銅(Cu):3.5-4.5%
  • マンガン(Mn):0.4-1.0%
  • マグネシウム(Mg):0.4-0.8%
  • ケイ素・鉄などの不純物:少量

この絶妙な配合により、以下の優れた特性を実現しています

 

機械的特性

  • 引張強度:390-470 MPa
  • 耐力:270-310 MPa
  • 伸び:8-16%
  • ブリネル硬さ:95-120 HB

 

A2017が選ばれる5つの理由

 

1. 高い強度と軽量性の両立

A2017の最大の魅力は、鉄鋼材料に匹敵する強度を持ちながら、密度が約2.8g/cm³と軽量であることです。この特性により、航空宇宙分野だけでなく、自動車部品や電子機器筐体での採用が増えています。

2. 優れた機械加工性

適度な硬さと粘り強さを持つA2017は、切削加工、穴あけ、タップ加工などの機械加工が容易に行えます。加工時の工具摩耗も少なく、精密な寸法精度を要求される部品製造に最適です。

3. 熱処理による特性制御が可能

A2017は熱処理によって機械的性質を幅広く調整できます。T4処理(溶体化処理後自然時効)では適度な強度と優れた成形性を、T6処理(溶体化処理後人工時効)では最高の強度を得ることができます。

4. 溶接性と接合性

適切な条件下では、TIG溶接やMIG溶接による接合が可能です。また、リベット接合やボルト接合にも適しており、構造部材としての用途も広がります。

5. コストパフォーマンス

高強度アルミ合金の中では比較的安価で、入手性も良好です。特に厚板材料では、他の高強度合金と比較してコスト優位性があります。

 

業界別活用事例

航空宇宙産業

  • 機体構造材
  • 内装部品
  • 油圧システム部品

自動車産業

  • エンジンブロック
  • サスペンション部品
  • ホイール

機械・装置

  • 工作機械フレーム
  • 精密機器筐体
  • 治具・取付具

電子・通信

  • 放熱器
  • シールドケース
  • アンテナ部品
  •  

A2017厚板加工の技術的ポイント

厚板のA2017を扱う際には、以下の点に注意が必要です:

 

切削加工時の注意点

  1. 適切な切削条件の設定:銅を含有するため、切削熱の蓄積に注意
  2. 工具選定:超硬工具またはコーテッド工具の使用を推奨
  3. 切削油の活用:加工精度向上と工具寿命延長のため

 

よくあるトラブルと解決策

Q1: 加工時に材料が変形してしまう

A1: 残留応力の影響が考えられます。A2017は性質上反りやすい材質です。

Q2: 表面処理がうまくいかない

A2: 銅含有量が多いため、前処理工程の見直しが必要です。専用の前処理剤使用をお勧めします。

 

A2017選定時のチェックポイント

製品設計時に以下をご確認ください:

  • 強度要求:必要な引張強度・耐力は満たされるか
  • 環境条件:使用環境の温度・湿度・腐食性は適合するか
  • 加工要求:必要な加工精度・表面処理は実現可能か
  • 経済性:コスト目標と材料費・加工費のバランスは適切か

 

まとめ:A2017で実現する製品価値向上

A2017アルミ合金は、その優れた機械的特性と加工性により、多くの産業分野で価値ある製品づくりに貢献しています。

特に、軽量化と高強度化の両立が求められる現代の製品開発において、A2017の特性は大きなアドバンテージとなります。

しかし、A2017の真価を発揮するためには、適切な材料選定から加工技術まで、総合的な技術力が不可欠です。

材料の品質、加工精度、納期対応力など、すべてが揃って初めて、お客様にご満足いただける製品が完成します。

 

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