豆知識 - A7075とアルクイン300の特徴や違いとは?【A7075の弱点克服】高強度アルミ「アルクイン300」 vs A7075徹底比較!最適な材質選定ガイド決定版 アルクイン300とは?

2025.11.04

A7075とアルクイン300の特徴や違いとは?【A7075の弱点克服】高強度アルミ「アルクイン300」 vs A7075徹底比較!最適な材質選定ガイド決定版 アルクイン300とは?

A7075は「応力腐食割れ」しやすい?

 

「軽くて強い」アルミ合金の最高峰、A7075(超々ジュラルミン)を設計で検討されている技術者の皆様、

A7075相当品でもOKと問い合わせがあり代替品対応中の購買・営業の皆様へ。

 

その圧倒的な強度は魅力的ですが、「切削加工時の歪み」や、特定の環境下で発生する「応力腐食割れ」といったリスクに頭を悩ませていませんか?

 

本コラムでは、A7075と同等の強度を持ちながら、これらの課題を大幅に改善したアルクイン300(UACJ製)についての特徴と、

強度、加工性、耐食性、調達性4つの視点で徹底比較します。

 

この記事を読めば、設計者の皆様や購買・営業の皆様の新たな提案材料として、弊社萬世興業が在庫・即納体制でサポートするアルクイン300の魅力をご覧ください。

 

【重要なお知らせ:規格に関する注意点】

 

はじめに、アルクイン300は、UACJが製造するメーカー規格品です。

高強度材としてA7075相当の性能を持ちますが、JIS規格、または航空機向けAMS規格などでA7075が指定されている用途には代用できません

あくまでA7000系として相当で問題がない案件や、金型・治工具材向けの代替提案としてご検討ください。

 


 

1. なぜA7075は「応力腐食割れ」しやすいのか?

高強度アルミ合金の代表格であるA7075は、主に航空宇宙分野や高負荷がかかる部品に使われます。

しかし、その高い強度を担保する成分と熱処理の影響により、「応力腐食割れ性」が低いという構造的な課題があります。

応力腐食割れとは: 応力が加わった状態で腐食環境においた際に、亀裂・破断へ至る現象です。7000系合金(A7075など)は応力腐食割性が発生しやすい合金です。


このA7075の構造的な弱点を克服するために開発されたのが、高強度アルミ合金のニュースタンダード、アルクイン300です。

 


2.A7075とアルクイン300の基本性能比較

 

両材質の基本的な違いを以下の比較表でご確認ください。

項目 A7075(超々ジュラルミン) アルクイン300(UACJ製品) 選定のポイント
強度 最高峰(★★★★★) 高強度(★★★★☆)
(S55C相当)
絶対強度が最優先の用途ならA7075
応力腐食割れ性 低い(要注意) 大幅に改善(優位点) 環境適性が必要ならアルクイン300
切削加工性 やや難しい/歪みやすい 良好(加工歪みを抑制) 精密な加工が求められる部品なら
溶接性 非常に困難 やや改善(補修溶接が可能) メンテナンス性も考慮するなら
調達性/コスト サイズにより納期に注意 萬世興業にて在庫・即納体制 納期を急ぐ場合、アルクイン300が有利

 

3. アルクイン300がA7075より優位な4つのポイント

アルクイン300の特徴としては、高強度アルミ合金製金型、治工具材向けに特化しています。

 

① 応力腐食割れ性を大幅に改善

A7075の最大の弱点である応力腐食割れのリスクを大幅に低減しています。A7075よりも遷移元素であるCu(銅)等を抑制し、Cr(クロム)等の添加を促進することで、A7075と比較し応力腐食割れ性を改善しています。

 

② 優れた切削加工性と加工歪みの抑制

アルクイン300は、A7075より靭性(ねばり強さ)を高め、切削性・加工性との調和を追求しています。これにより、切削加工時間は※S55Cの約3~50倍のスピードで加工可能です。特に複雑な形状の精密部品において、加工時間の短縮不良率の低減に貢献します。

 

③ 溶接性の改善とメンテナンス性の向上

A7075は事実上、溶接が困難です。一方、アルクイン300は溶接性が改善されているため、万が一の補修溶接が可能です。これは、特に大型の金型や治具を運用する上で、大きなメンテナンス上のメリットとなります。※ただし基本は溶接はおすすめしておりません。

 

④ 萬世興業の在庫による「即納体制」

弊社では、アルクイン300を板厚6mmから350mmまでの幅広いサイズで豊富に在庫しています。お客様の「いますぐ必要」にお応えできる体制を整えています。

 


4.【結論】アルクイン300の最適な用途と選定チェックリスト

材質 最適な用途 選定チェックリスト
A7075 絶対強度が最優先される、航空機部品など ・溶接の必要がない
・腐食環境に晒されない
・納期に余裕がある
アルクイン300 精密治具金型、応力腐食割れが懸念される部品 加工歪みを最小限に抑えたい
納期を急いでいる
・強度と耐食性のバランスを求める

 

5. アルミ合金を使用する場合の2つの注意点

アルクイン300も下記に該当します。アルミ合金全般の特性として、以下の点にご注意ください。

 

① 耐熱性による強度低下

アルミ合金は加熱温度が150℃を超えた場合に、強度が著しく低下します。100℃を超える環境下での使用は注意が必要です。

 

② 鋼材との熱伝導性の違い

アルクイン300は鋼材と比較して約3倍の熱伝導性を持ちます。金型や部品の冷却効率が向上するメリットがある一方、温度管理が必要な用途では熱の影響を考慮した設計が必要です。

 

6. お問い合わせ:最適な材質選定と見積もり依頼

 

材質選定は、設計・加工・コストに大きく影響します。アルクイン300への切り替えをご検討中の方は、まずはお気軽にご相談ください。萬世興業では、「ちょっと聞くだけ」「ざっくりとした相談」も大歓迎です。

 

よくあるご質問(FAQ)

質問(Q) 回答(A)
Q1. A7075からアルクイン300へ切り替える際の注意点は? A7075と比較し、強度はわずかに下がりますが、靭性(ねばり強さ)を高めて加工性で上回ります。
Q2. アルクイン300はA7075よりも本当に低コストですか? 材質単価は近接していますが、弊社在庫のため単価相談にも乗ります。またアルクイン300は切削加工性が向上しており、切削加工時間はS55Cより約3~50倍のスピードで加工可能です。これにより加工時間短縮によるトータルコストが大きく下がる可能性があります。
Q3. アルクイン300の在庫サイズと納期を教えてほしい。 萬世興業では、板厚6mm~350mmの幅広いサイズを在庫しています。具体的な板厚(t)とサイズをご連絡いただければ、即座に在庫状況と切断・フライス加工の最短納期をお答えいたします。

 

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